脂肪は悪者ではありません!

さて、今日から脂質のお話がスタートです。
一般的に脂肪というと健康や肥満の敵。健康のためには油はあまり摂らない方が良いというのが、みなさんのイメージですよね。 油は長い間、病気の根源であるように言われてきました。低脂肪・低カロリーを謳った商品が売れ、「油は健康とは相反するもの」「油は摂らない方が良いもの」という間違った考えが常識とされてきたのです。
しかし、無脂肪食で育てられたネズミが、「成長が止まる」、「子供が出来ない」、「しっぽの皮膚がうろこ状になってしまう」、などの問題を抱えるのは、それだけ脂肪が重要な栄養の一つだからです。
脂肪は悪者ではない
これらの問題は、成長ホルモンが分泌されなくなる、女性・男性ホルモンが出なくなる、細胞膜の成分が供給されなくなるなどのことから起こっているわけですが、これら全てに脂質という栄養が関わっているとしたらみなさんビックリされるでしょうか? もちろんこのことは、人間にも言えます。脂質をバランス良くに摂らないと成長障害やアトピーなどの問題も増加します。
実は、こういった問題には脂質の中でも特に「コレステロール」と
「多価不飽和脂肪酸」が重要となります。
このテーマではこのことについてじっくり話していきましょうね。
私もたまに海外の論文を読みますが、アカデミックなところでは脂肪の大事さを示す論文を多く見かけます。それだけ油(脂質)の摂り方は、大事なのです。油(脂質)は、私たちの大切なエネルギーとなる無二の栄養素といえるでしょう。
さて、では脂質のことについて少しずつ解明していきましょう!
脂肪の種類
脂質はタンパク質や糖質と並ぶ3大栄養素の一つです。
生命の維持に欠かせない栄養素の一つである脂質は、体脂肪として体温を保つのを助けたり、筋肉や臓器を衝撃から守るクッションの役割を果たすほか、細胞膜、血液などの構成要素にもなります。
一つずつ見ていきましょうか。
まず脂質は細胞膜などの生体膜を形成します。 細胞膜は、栄養素を取り込んだり、老廃物を排出したり、細菌やウィルスの侵入を防ぐ、そして細胞同士の情報を伝達する、ホルモン様物質の材料になるなど、私たちが生きていくうえで基本となる大切な役割をもっています。
次に、脂質はエネルギー源として働きます。 成人の場合は、まっさきに使われるエネルギーはご飯やパンなどの糖質ですが、糖質がなくなってくると脂質からエネルギーを補うようになります。糖質に比べて4倍くらいのエネルギー量を持ち、効率の良いエネルギー源でもあるのです。
ほかには、脂質は、熱の発散を防いで体温を保ったり、太陽の光を利用してビタミンDを合成したり、脂溶性ビタミンA、D、E、Kなどの吸収を助けたりします。 またみなさんが毛嫌いする体脂肪も実は必要です。内臓を支えたり外の衝撃から守るためには、しなやかな筋肉とともに、脂肪もある程度は必要なのですね。
またコレステロールもこの脂質の一種というとみなさんは敬遠しがちだと思いますが、コレステロールは身体で必要なホルモンの材料になったり、脳の構成物質としても非常に重要なものです。
最近の研究ではコレステロールを取ると神経の伝達スピードが早くなり、頭が良くなることも分かっています。
脂質は、科学的な構造によって「単純脂質」「複合脂質」「誘導脂質」の3つに大別されます。 簡単に紹介しておきましょう。
〈単純脂質〉
脂肪酸とアルコールが結びついたもの。アルコールの種類によって、中性脂肪(脂肪酸とグリセロールが結合したもの)と蝋(脂肪酸と炭素数の多いアルコールが結合したもの)に分類されます。 中性脂肪はありすぎると問題になりますが、必要に応じて体のエネルギー源となります。
〈複合脂質〉 単純脂質がリンや糖、タンパク質などと結びついたもの。エネルギー源にはなりませんが、細胞膜の構成成分となるなど、重要な役割を担っています。
〈誘導脂質〉 単純脂質と複合脂質のどちらにも分類されない脂質を呼びます。 この仲間にはコレステロール、脂質性ビタミンなどが含まれ、コレステロールはホルモンの合成など大切な役目を果たしています。
次回は、「現代人は本物の油が不足している」というお話をしていきます。 お楽しみに〜。
小菅 一憲
カイロプラティカ麻布十番|副腎疲労専門カイロプラクティック